まだ七砂小が木造校舎だった時の話です。その日は運動会でした。おしっこがしたくなった私は急いでトイレへ。確か今でいうと正門を入って左手あたりにあったと思います。もしかしたら右手かな?50年以上前の事なのでその辺ははっきり覚えていません。当時のトイレは校舎から突き出た感じで設置してあり、校舎の外からも入れるようになっていました。運動会のこの日は皆校舎の外から入っていました。トイレの建物の左右に外から出入りするための戸がありました。私がトイレに入った時は誰もいませんでした。おしっこをしているとトイレの外で赤ちゃんの泣き声がしてきました。弱弱しく可愛い声でずっと泣いています。運動会なので多くの人が来校していたので赤ちゃんが泣いていても不思議ではありません。親があやしている様子はありません。不思議に思い泣き声のする外に出る戸の方へ行くと泣き止み、今度は反対側の外に出る戸の方から聞こえてきます。親が抱っこして歩いているのかと思ったのですが、よくよく考えると赤ちゃんを抱っこしたまま一瞬で10mほど移動したことになります。今度はそちらの戸の方へ向かっていくと泣き止み、また反対の戸の方から聞こえてきました。もうこの時点で何かおかしいと思った私は外へ出る戸を開けることができなくなりました。もし開けたらとんでもない怖いことが起こるのではないかと思ったのです。「どうしよう。」と思っていたら突然戸が開き「漏れるー。」と言いながら何人かの上級生が駆け込んできました。「たすかった。」と上級生と入れ違いに思い急いで外へ飛び出しました。「あれは何だったのか?」4歳年上の姉にそのことを話したら「あっ、それ有名な話。出るらしいよ。友達に泣き声聞いたっていう子何人かいるし。」とのこと。深川生まれで第二砂町小学校出身(古い方の二砂小ね)の父にもこの話をすると「ああ、東京大空襲の時とかずいぶん死んだからな。お父さんの友達もたくさん死んだ。空襲のたびに友達いなくなるんだよ。その時死んだ赤ちゃんがお母さん恋しくて泣いているのかもな。」なんてこと言うものだから私は二度とそのトイレは利用しませんでした。そしてだんだんと今の鉄筋校舎に代わっていったのです。確かプールの位置だけは昔と同じ場所だと思います。プールの怪談っていうのもあるんですよ。ふふ・・・
(2021/09/04 11:38:18:wken)