ランドセルの由来

ランドセルの由来

子供たちの背中にそっと寄り添うランドセル。その色とりどりのデザインは、毎朝の登校風景を彩り豊かにしていますが、その名前や形には、どんな歴史が隠されているのでしょうか?その由来をご存じですか?ランドセルという名前には、遠くヨーロッパの国々から伝わった意外な歴史があるのです。ここではランドセルの由来についてまとめてみました。

ランドセルは何語?

「ランドセル」という言葉は、実は日本語ではなく、オランダ語に由来しています。オランダ語の「ransel(ランセル)」が元になっており、これは「背嚢(はいのう)」や「リュックサック」を意味する言葉です。日本にこの言葉が伝わったのは江戸時代末期のことでした。 当時、日本では西洋の文化や技術が次第に取り入れられるようになり、オランダ語もその一部として軍事用語などに採用されました。オランダから伝わった「ransel」は日本語の発音に合わせて「ランドセル」と呼ばれるようになり、その後、日本軍で背負うバッグとして使用されました。 この「ランドセル」が明治時代に小学生の通学用バッグとして採用され、現在のような形に発展していったのです。ランドセルという名前には、そんな歴史的な背景があるのです。

何故ランドセルが使われるようになったのか

明治天皇の影響

ランドセルが小学校の通学用バッグとして広く普及したきっかけの一つは、明治天皇の影響です。1887年(明治20年)、当時の内閣総理大臣であった伊藤博文が、明治天皇に向けて、皇孫である嘉仁親王(後の大正天皇)のためにランドセルを献上しました。これにより、ランドセルが皇室の教育に取り入れられることとなり、一般家庭でもランドセルが子供の教育にふさわしいと認識されるようになりました。

実用性と耐久性

ランドセルは元々軍用のバッグとして使用されていたため、耐久性が非常に高く、長期間使用できることが特徴でした。これが、活発に動き回る小学生の通学用バッグとして適していると考えられました。また、両手が自由になるため、通学時に安全性が確保される点も評価されました。

身体の成長に対応

ランドセルは、背中にぴったりとフィットする設計がなされており、子供の体の成長に合わせて調整できる機能が備わっています。また、教科書やノートをまとめて運ぶのに十分な収納力があることも、小学生の通学用バッグとして選ばれる要因でした。

義務教育制度の普及と共に

明治時代後期には、義務教育制度の普及に伴い、小学生が学校に毎日通うことが当たり前になりました。こうした時代背景の中で、子供たちが毎日使う通学バッグとして、耐久性や実用性の高いランドセルが次第に標準的な選択肢として定着していきました。

これらの理由が重なり、ランドセルは小学校の通学用バッグとして広く採用され、今日まで続く伝統となっています。

ランドセルの日とその由来

「3月21日が『ランドセルの日』として制定されていることをご存じですか?この日は、ランドセルを小さなサイズに加工する職人たちが定めた日です。しかし、なぜこの日が選ばれたのでしょうか?実は、3月21日の『3』『2』『1』という数字を足すと『6』になり、これは小学校の6年間を表しています。この数字の組み合わせには、子供たちが楽しみながら覚えられる工夫が込められているのです。

『ランドセルの日』は、6年間毎日背負ってきたランドセルに感謝を示す特別な日です。小学生にとって、ランドセルは学校生活の大切な相棒です。この日を通じて、子供たちがランドセルへの感謝の気持ちを改めて感じる機会となっています。」

ランドセルをミニチュアサイズに加工するサービスが人気を集めています。このサービスは、卒業後に使わなくなったランドセルを手のひらサイズに作り替えるもので、思い出をコンパクトに保存できる方法として、多くの家庭で利用されています。また、ランドセルの革は丈夫で長持ちするため、小物やアクセサリーとして再利用するケースも増えています。ランドセルの日は、こうしたランドセルにまつわる様々な感謝や思い出を大切にする日でもあります。

ランドセルの色は赤と黒が多いのは何故

赤と青のランドセル

戦後の日本社会では、男女の役割分担が明確であり、それがランドセルの色にも反映されていました。黒は「男性的な色」、赤は「女性的な色」とされていたため、自然と男子用のランドセルは黒、女子用のランドセルは赤という風潮が広まっていきました。このカラー選択は、当時の社会的な価値観やジェンダー意識が反映された結果です。

また、高度経済成長期に入ると、ランドセルメーカーが市場をターゲットにしたマーケティングを展開しました。その中で、黒と赤というシンプルで分かりやすいカラーが、消費者に受け入れられやすいスタンダードな色として定着しました。親たちにとっても、シンプルで無難な色選びが安心感を与える要因となっていたのです。

近年では、ランドセルの色やデザインは多様化しており、カラフルで個性的なものが増えていますが、赤と黒のランドセルが伝統的なスタイルとして根強く支持され続けているのは、こうした歴史的・文化的な背景があるためです。

近年のランドセル

ランドセルの由来

近年のランドセルはそのイメージを大きく変え、多様化しています。カラフルなデザインや、個性的な装飾が施されたランドセルが増え、子供たちが自分の好みや個性に合わせて選べるようになりました。ピンクや青、緑、紫、さらにはメタリックカラーやパステル調の色合いも登場し、ランドセル売り場はまるでカラーパレットのようです。

また、ランドセルの機能性も進化しています。軽量化された素材を使用することで、子供たちの負担を減らしつつ、耐久性や防水性も向上しています。さらに、収納スペースが工夫されており、教科書やノートだけでなく、細かい文房具やお弁当箱まで効率よく収められるようになっています。背中へのフィット感を重視した設計や、肩ベルトの調整機能も充実しており、子供たちの成長に合わせて快適に使い続けられるようになっています。

ランドセルの選び方も、親子で楽しむイベントになりました。新学期を迎える前に、家族みんなでランドセルを選びに行く光景が見られます。これは、子供たちが学校生活に対する期待やワクワク感を一層高めるきっかけとなるでしょう。

ランドセルは、単なる通学バッグ以上の存在です。それは、小学校生活のスタートを象徴し、6年間の成長を支えるパートナーです。こうして、ランドセルは時代と共に進化し続け、子供たちの生活に寄り添い続けています。

使わなくなったランドセル

ミニチュアサイズのランドセル

小学校が終わって使わなくなったランドセル、捨てるのにはしのびたい人も多く、ランドセルをミニチュアサイズに加工するサービスが人気を集めています。 このサービスは、卒業後に使わなくなったランドセルを手のひらサイズに作り替えるもので、思い出をコンパクトに保存できる方法として利用されています。 また、ランドセルの革は丈夫で長持ちするため、小物やアクセサリーとして再利用するケースも増えています。

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